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チョン・キョンファ/1998.4.28サントリーホールライヴ [音楽]

チョン・キョンファのヴァイオリンは,いつ聞いても,他のヴァイオリニストの演奏とは感慨を異にし,胸に刻まれるものがあります。
最初に聞いたベルリン・フィルとの初協演のチャイコフスキーの協奏曲での感動以来,ずっと,聞いてきました。

結婚,出産の後,若い頃の演奏の輝きが失われたと言われもしましたが,それでも人とは違う魂の叫びと言っていいような音に身を震わせてきました。いわば信者のような気がします。

今日紹介するCDは,1998年4月28日サントリーホールのライヴ録音です。
チョン・キョンファ/Tokyo1998.4.28.jpg

①J.S.バッハ「G線上のアリア」②ストラヴィンスキー「協奏的二重奏曲」③J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」④バルトーク「ヴァイオリン・ソナタ第2番」⑤ラヴェル「ツィガーヌ」⑥ラフマニノフ「ヴォカリーズ」⑦クライスラー「美しきロスマリン」⑧クライスラー「中国の太鼓」⑨トビュッシー(ハイフェッツ編「美しい夕暮れ」

最初の「G線上のアリア」は,当日のプログラムにはなかった曲で,突然,キョンファが演奏すると言い出したもののようです。したがって,プログラムには記載がなく,彼女自身がマイクで曲名をアナウンスしたそうです。

ストラヴィンスキーもバルトークもスリリングで切れ味鋭いキョンファならではのものです。
ラヴェルの「ツィガーヌ」は表情豊かで魅惑的です。

何といっても,バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番が圧巻です。
幾多の名手の名盤というものが身の回りにありますが,白眉だと思います。
聴衆の熱狂ぶりがそれを現わしています。

静まり返った中で,床がこすれるような音が入っています。
彼女の力が靴を通して床に伝わっているのです。

この日の演奏はBプログラムですが,Aプログラムの録音は,国内では出ていません。
こちらも比較して聞きたいと思っています。



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