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相続登記の話2019.10.8 [仕事]

冷たい雨が降り続いています。
今日の最高気温は20℃にはならないのではないか?
昨日から,クールビズをやめ,長袖シャツにしました。

最近,相続に関する相談が増えてきており,それにつれ私の本業である司法書士の業務量の比率も多くなっています。
今日は,相続に関する話題3つほど。同業者以外の方には,このようなことがあるのかと関心を寄せていただければ幸いです。

① 当事者が外国居住者である場合
法定相続人の1人が外国に居住している場合,日本のように印鑑登録制度がなく,本人の意思表示が真実であることを担保するにはどうしたらよいでしょうか。
アメリカの場合,一般的には,遺産分割協議書や民法903条の特別受益証明書などに本人の自署(サインなど)について,領事館で本人のものであることを証明してもらう方法か,アメリカの公証人に公証してもらう方法があり,この2つが一般的です。
ちなみに,アメリカの公証人による場合は英語で書かれていますから,訳文が必要です(誰による訳でもよい。)

② 旧樺太戸籍に記載されている場合の戸籍の証明
戦前,南樺太は日本の領土でありました。したがって,南樺太には日本本土に本籍を持つ人が樺太に転籍し,樺太で婚姻して家庭を持った人達がたくさんおりました。
大戦後,サンフランシスコ講和条約締結により,日本は樺太の領有権を放棄したため,日本の領土ではなくなり,日本の戸籍の適用もなくなったわけです。
旧樺太の戸籍に記載されていた人が相続人である場合,あるいは,樺太で子が生まれた可能性がある場合には,その戸籍謄本が必要になります。
現在,外務省で旧樺太戸籍のごく一部を保管していますので,その中に必要としているものがある場合は,外務省に請求すれば証明書がもらえます。
そのほかの場合には,「保管していないことの証明」を発行してもらえますので,これらを必要としている手続きの疎明資料とすることができます。
請求する場合の手続きは,外務省のホームページに「旧樺太の戸籍に関する証明」として掲載されています(保管している戸籍の内訳もあります)。

③ 遺言について
相続登記をする場合,通常,被相続人(亡くなった人)の生まれた時から死亡した時までの連続した戸籍,法定相続人全員の現在の戸籍が必要になります。例えば被相続人が遠隔地出身で,親,兄弟姉妹が方々に本籍を有しているような場合,それらすべての戸籍が必要になるのが普通です。
最近私が手掛けた例では,被相続人が鹿児島,配偶者が東京都出身で,子がいないという事案でした。
この場合,この夫婦に子がなく,父母は既に亡くなっているため,相続人は,配偶者と被相続人の兄弟姉妹,兄弟姉妹が先に亡くなっていればその子が相続人となります(代襲相続人という)。
相談を受けた時には,相続登記まで随分時間がかかるだろうと観念していましたが,相談者宅にお邪魔してお話を伺うと,遺言の公正証書があるというのです。
不安は一転,相談に伺ってから1時間で相続登記まで一気にことが進みました。
公正証書遺言の場合には,公証人が,遺言の内容を証人2人の立ち合いの下に本人に直接口述してもらうため,その内容は,国の機関が証明し,強い効力を有するものになります。
したがって,相続登記に必要な書類は,「遺言公正証書」「死亡した記載のある戸籍謄本」「受遺者と遺言者の親族関係がわかる戸籍謄本等(配偶者の場合は,死亡した記載のある戸籍謄本でよいのが普通です。)」「その他一般的な添付書類」となります。
今回,私が手掛けた事案は,亡くなった方が,死後,相続手続きに苦労することを見越して,公正証書で遺言を残したのでしょう。結果,亡くなった方の九州の戸籍や兄弟姉妹の戸籍など一切不要でした。


本日の結論 長々と相続登記について述べましたが,是非,公証人による遺言作成をお勧めします。

 
 

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