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ストラヴィンスキー・コンダクツ [音楽]

今週は珍しく仕事が立て込んだせいで,平日の山歩きはなしでした。
行こうと思っていた昨日木曜が土砂降りだったせいもあるのですが。

今日は,午後,お得意先の社長がお客さんを連れて相続の相談があるので,午前中は草木の鉢植えをし,仕事の整理をしたあとで,ストラヴィンスキーの自作自演のCDを聞いています。

ストラヴィンスキーは後年ロシアを離れアメリカで音楽活動をしながら余生を送りました。
ストラヴィンスキーの最高傑作「春の祭典」は,20世紀最大の作品とも言われます。

この曲の初演は,ピエール・モントゥ指揮でパリ・オペラ座で行われ,賛否の渦で空前の騒擾であったといわれ,現在に語り伝えられています。そうした初演ののち,現在では「春の祭典」の演奏はコンサートの人気プログラムになり,放送を通じて慣れ親しむようになりました。

作曲者ストラヴィンスキーは,自作の曲を指揮する機会がたくさんあったようで,わが国ではNHK交響楽団を指揮しています。亡くなった岩城宏之,山本直純氏等がオーケストラに潜り込みストラヴィンスキーの指揮を目の当たりにしたというのは有名な話です。ストラヴィンスキーの指揮は下手だったと言われてきましたが,そりゃあ専門の指揮者とは,指揮のテクニックは違うでしょう。

今日紹介するのは,彼の晩年,アメリカCBSが組織したオーケストラ(コロンビア交響楽団)を1960年に指揮した「春の祭典」と「火の鳥」,1940年と1954年にニューヨーク・フィルハーモニーを指揮した同じ曲2曲です。

ストラヴィンスキー指揮.jpg


「春の祭典」は,原始的,土俗的な舞踊のために複雑なリズムや不協和音を用いてストラビンスキーが作り上げた音楽ですから,作曲者でなければ表現できないものがあるはずです。
作曲者として楽譜に書ききれなかった何かが,指揮者として音楽を作り上げるなかで,楽員に伝えられていると思いながら,このCDを聞くと他の指揮のスペシャリストの演奏の微妙な違いに納得するのです。

私が「春の祭典」を初めてコンサートで聞いたのは,亡くなったピエール・ブーレーズが指揮するニューヨークフィルの演奏会でした。オーケストラには数名の日本の奏者も補強され素晴らしい演奏会でした。初めて買ったこの曲のLPは,同じブーレーズがクリーブランド管弦楽団を指揮したものでしたが,定評のあるブーレーズの演奏は精緻なリズムに驚きますが,ストラヴィンスキーの指揮はあえて言うならば土俵が違うのです。指揮の技術ではなく作った者の思いが乗り移っているのだと思うのです。

9月3日,松本市でシャルル・デュトワ指揮「セイジ・オザワ・サイトウキネンオーケストラ」の演奏会が行われました。無観客で行われ,その模様がYouTubeで配信されました。
曲は,ラヴェル,ドビュッシー,ストラヴィンスキーでしたが,残念ながらストラヴィンスキーは「火の鳥」でした。世界で評価されるサイトウキネンですから,おとなしい優美な曲だけでなく「春の祭典」で音楽祭に力強いものを現してほしいと思いました。

いつになく長い記事になってしまいましたが,ストラヴィンスキーに寄せる思いがそうさせました。特に「春の祭典」は10代から大好きな曲でした。





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