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検査入院…入院初体験 [健康]

7月中旬,急に体調に異変が生じ,山を歩くのをやめ,医者通い,そして,検査入院ということになりました。

自身の身体のことは,くよくよ考えても仕方ありません。通院しているうちに体調は回復したし,検査の結果,何らかの処置をするというのであればそれに従わざるを得ません。

何分,この六十数年間,虫垂炎を含めて入院の経験がないので,どのように病室で過ごしたらよいのか,考えた末,読書と音楽しかないと決しました。

そこで,数あるCDの中から何を選ぶか?CD5組,次のとおりにしました。
①ギドンクレメル/バッハ・無伴奏ヴァイオリンパルテイータ&ソナタ(ECM盤)
②グレン・グールド/ブラームス・間奏曲&バラード
③ハイフェッツ/モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲4番&5番
④ティマーマン/シューベルト・即興曲D899,935
⑤マタチッチ/ブルックナー・交響曲第8番

読む本は,サイモン・シンの「宇宙創成上・下」(新潮文庫販)
最初,「ビッグバン宇宙論」という名称で出版されたものです。


1日目の夕方入院し,2日目に検査の本番,3日目午前,検査後の体調を検査し退院というスケジュールでしたが,実際の検査に要する時間は延べ2時間ほど,あとは安静にしているか,ソファーに座っているか,暇でした。

<音楽>
急遽,コンパクトな携帯用CDプレーヤーを用意し,イヤーフォンで聞きますが,我が家のオーディオ・システムのようにはいきません。仕方ありません。

①ギドン・クレメルのバッハ・無伴奏ヴァイオリン・パルティータとソナタ
ギドン・クレメル・バッハの無伴奏 ECM.jpg

これは素晴らしい!今回聞いて改めて感銘を受けました。
ロシア盤のアナログディスクは,若者の感情が突き刺さるような刺激を受けましたが,本ECM盤は円熟のような美しさがあります。

②グレン・グールド/ブラームス・間奏曲&バラード
グレン・グールド/ブラームス.間奏曲集,バラード.jpg

病院は9時消灯,そんな経験もないから簡単には眠れません。
ベッドサイドのライトを点灯し,本を読んでも時間があります。
やっとまどろんでいる頃に聞くのに最適なのは,グレン・グールドのブラームス・間奏曲集とバラード。子守歌のように,しばし,眠りにつきます。

③ハイフェッツ/モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲4番&5番
ハイフェッツ/モーツァルトヴァイオリン協奏曲4番,5番.jpg

古い録音ですが,私はハイフェッツのヴァイオリンが大好きです。
特にモーツァルト協奏曲4番と5番。名人芸を何のてらいもなくさらりと弾き切るのが魅力です。
しばし休憩しようというときに最適です。

④ティマーマン/シューベルト・即興曲D899,935
ティマーマン/シューベルト.即興曲.jpg

検査が終わり,4時間ほど安静にしなければなりませんでしたが,その時聞いたのが,シューベルトの即興曲でした。
大分以前に購入したCDでしたが,このように心が洗われるような演奏だとは,改めて名曲・名演を実感しました。
シューベルトの歌心が切々と語りかけてきます。

⑤マタチッチ/ブルックナー・交響曲第8番
マタチッチ/ブルックナー・交響曲第8番.jpg
1984年3月7日,N響定期公演ライヴ録音の音源をRVC・ビクターがCD化したものです。
この時の映像は,NHK・TVでも放送され,視聴者の人気が高い演奏会だったようです。
今でも,汗を拭きながらのマタチッチの巨体が目に浮かびます。
最前席で聞いていた宇野功芳は,ライナーで「本CDの価値は不滅であろう。」と言っています。
音の洪水に身を任せています。

ほかにも何枚かCDは持参しましたが,聞くのは以上5枚に落ち着きました。


読書
サイモン・シン「宇宙創成上・下」
宇宙創成・上.jpg
宇宙創成・下.jpg
随分前,「ビッグバン宇宙論」として刊行されていたのですが,「宇宙創成上・下」として文庫本で出たものです。

科学の本ですが,堅苦しくなく読む者をぐいぐい引き込んでいきます。
語り口は,「フェルマーの最終定理」「暗号解読」と同じです。
古代から現代までの科学の歴史を科学者の足跡を辿って教えてくれます。

古代の人々は,いかにして地球の大きさや他の天体までの距離測定の方法を発見したか,天動説から地動説が定着するまでの長い年月をかけた研究者と守旧者,教会との攻防が繰り広げられます。
そして,ニュートンが現れた後,アインシュタインにより宇宙の理解が急激に進むのです。
そしていよいよビッグバンに突入ということになります。

ガリレオも,コペルニクスも,ケプラーも,生前,その偉業を讃えられたことはなかったのです。むしろ,キリスト教の教義に反するとして異端の責めを負わされたほどでした。

「太陽中心の宇宙観は常識に反していたのである。しかし,優れた科学者は常識に引きずられてはならない。なぜなら,常識は隠れた科学的真理とは何の関係もないことがあるからだ。アルベルト・アインシュタインは常識というものを厳しく批判し,「18歳までに身につけた偏見の寄せ集め」だと言った。」と,作者サイモン・シンは書いています。

長文の本書の中で,最も感銘を受けた一節です。



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